鑑定

傷に見えて、実はそうではない跡たち

骨董品の一見傷に見えるものについて、実は傷ではない場合があります。 これは私たちプロが数多く鑑定して得た経験からしか判断できないものがあり、骨董品に馴染みのない方が判断されるのは難しい場合があります。

例えば、その傷は以下の様に分類されることがあります。

貫入(かんにゅう)

釉薬部分の入(ヒビ)のことを言います。 ご自宅にある土鍋をご覧ください。土鍋の底から微細な筋が入っていませんか?これが貫入と呼ばれるものです。 ちなみに貫入が多く入っている品物は焼きが甘いので甘手(あまて)と言われています。

カケ

皿の縁や角等一部分が割れてしまって無くなってしまっている状態の事を指します。

・虫食い(むしくい)

口縁や稜などで、釉薬と胎土との収縮率が違うため釉ハゲを起こしている物を指します。傷とされないケースもあります。

・入(にゅう)

陶磁器の中でも有名な傷の一つで、釉薬から胎土(陶磁器自体の形づくる粘土)にかけて入っている、ヒビ割れている事を指します。

・削げ(ソゲ)

口縁などに原形をとどめるくらいに、薄くカケ落ちていることを指します。

・鳥足(トリアシ)

胴央や底などの中心から放射状に出た入(ヒビ)を指す鳥の足の様に見える事からこの名前が付いたと言われています。

・釉ハゲ(ゆうはげ)

胎土はそのままの状態だが釉薬(うわぐすり)部分だけが剥がれてしまって胎土が表面に現れている物を指します。

・ハマグリ

ソゲの一種で陶磁器ソゲ部分がハマグリの様に同心円上の段になっている状態を指します。

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